民泊を始めようと考えているけど、民泊の180日ルールって何だろう…

日本では。2018年に「住宅宿泊事業法」(通称:民泊新法)が施行され、民泊の営業日数は1年間で180日までと制限されています。この日数を超えて営業すると罰則もありますので、民泊を始める場合は注意が必要です。この記事では、そんな「民泊の180日ルール」について、内容と対応策を分かりやすく解説していきます。

民泊(みんぱく)とは、「民間宿泊」の略で、一般の住宅や空き部屋を短期間旅行者に貸し出す宿泊形態のことを指します。この宿泊サービスは、旅行者が地元の生活を体験できる機会を提供する一方で、家主には空きスペースを活用して収入を得るチャンスを与えます。近年、Airbnbをはじめとするオンラインプラットフォームの普及により、世界中でこの形態の宿泊が広がりました。

民泊は、従来のホテルや旅館とは異なり、住宅地にある一般家庭で行われることが多いため、地域に溶け込んだ生活体験や、よりパーソナライズされた滞在が可能です。しかし、この宿泊形態の急速な普及は、地域の住環境や治安への懸念、既存の宿泊業界との競争など、様々な問題を引き起こすこともありました。

これらの問題に対処するため、多くの国や地域では民泊に関する法律や規制を導入しています。日本では2018年に「住宅宿泊事業法」(通称:民泊新法)が施行され、安全性の確保や近隣住民への配慮など、民泊事業を行う際のルールが定められました。この法律により、民泊事業を行うには自治体への届出が必要となり、一定の基準を満たす必要があります。

民泊の「180日ルール」とは、民泊事業を行うことができる年間の営業日数を最大180日に制限するという規制です。このルールは、2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法」(民泊新法)に基づいています。目的は、住宅地域における生活環境の保護と、旅館業法に基づく宿泊業との公平な競争条件を確保することにあります。

180日ルールの目的

180日ルールは、「住宅宿泊事業法」に基づいて2018年6月に日本で施行されました。この法律の制定の背景には、民泊の急速な普及があります。民泊は観光業を活性化させる一方で、住宅地域における騒音問題、ゴミの不法投棄、プライバシーの侵害など、様々な社会的問題を引き起こす可能性が指摘されていました。180日ルールの主な目的は、民泊事業の健全な発展を促しつつ、住宅地域の生活環境を保護し、宿泊業界内での公平な競争条件を確立することにあります。

180日ルールの適用範囲

このルールは、日本国内で民泊事業を行う全ての事業者に適用されます。ここでいう民泊事業とは、住宅宿泊事業法に基づいて届出を行い、許可を受けた事業者が自宅や賃貸物件などを短期間旅行者に貸し出す活動を指します。180日ルールの制限は、一つの物件に対して年間の合計営業日数に適用され、事業者が複数の物件を運営する場合でも、各物件ごとに180日の制限があります。

180日ルールの具体的内容

  • 営業日数制限:事業者は、1年間につき最大180日間までしか民泊サービスを提供することができません。
  • 届出義務:民泊を営業するためには、事前に地方自治体への届出が必要です。この届出には、予定する営業日数が年間180日以内であることを明記する必要があります。
  • 自治体の裁量:地方自治体は、住宅宿泊事業法の枠組み内で、180日ルールをより厳しく制限する権限を持ちます。例えば、特定の地域においては、地域の実情に応じて営業日数を180日未満に設定することが可能です。

参考:住宅宿泊事業(民泊)を始める方へ(国土交通省)

180日を超えた場合、6ヶ月以下の懲役もしくは3万円以下の罰金が科せられます。これは旅館業の許可を取らずに、無許可で180日以上運営したことによる、旅館業法としての罰則になります。

参考:旅館業法について(国土交通省)

①特区民泊

特区民泊とは、国家戦略特区において、宿泊施設を賃貸借契約に基づき一定期間使用させ、滞在に必要なサービスを提供する事業として都道府県知事の認定を受けた場合に、旅館業法を適用しない民泊のことです。

<ポイント>
・特区民泊は年間を通して365日営業が可能
・民泊新法や旅館業法で要求されるような厳しい施設基準や常駐スタッフの配置が必須ではない
・以前は最低6泊7日からの宿泊を要求されていましたが、現在は2泊3日に緩和

ただし、特区民泊として認可を受けるためには、一般的な民泊新法に基づく申請よりも煩雑な手続きが必要になる場合があります。これは、事業者にとって初期のハードルが高いと感じられるかもしれません。

参考:特区民泊について(内閣府)

②30日以上の長期利用向け

民泊は、数日~数週間など「短期滞在」を前提としています。そのため、30日以上の「長期滞在」「長期宿泊」の場合、民泊の180日ルールから外れます(つまり、一般賃貸となります)。

例えば、以下のように「民泊」+「長期利用向け」を併せて営業させれば、1年間を通じて売り上げることができます。

180日:民泊
それ以外:長期利用向け(マンスリーマンションやレンタルスペースなど)

マンスリーマンションやレンタルスペースを貸し出す場合、旅館業法を取得するよりも簡単に始められるので、対応策としては実現しやすいかと思います。

ちなみに、代表的な民泊サイト「Airbnb(エアビー)」では、180日に到達するとサイト表示が自動的にできなくなりますが、マンスリーとしての貸し出すことはできます。

③民泊以外の選択肢

180日以上営業したい場合、民泊以外の選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。例えば、旅館業法に基づく許可を取得して宿泊施設を運営すれば、年間営業日数の制限を受けずに営業することができます。ただし、取得までの煩雑さやコスト面も考慮する必要があります。

いかがでしたでしょうか。この記事では、民泊の180日ルールについて、内容や対応策をご紹介しました。いざ民泊を始めたもの、180日ルールで「上手く売上を立てられない…」「180日を超えて罰則を受けてしまった…」みたいなことにならないよう、事前にチェックしておくことが重要です。